開催の目的と意義

臨床ストレス応答学会は、生体に降り注ぐストレスに対して生体が発生する様々な応答の分子メカニズムを明らかにすることにより臨床研究に繋げるという目的を掲げ、1996年に立ち上げられた臨床ストレス蛋白質研究会を母体としています。そしてその後、より広範なストレス応答を対象とし、より多くの基礎および臨床研究者あるいは医療および社会への適用を目指す方々の学術交流の場を目指して、2006年に学会へと発展しました。

ヒトを含む生物は常日頃、個体ないし細胞レベルで種々のストレスに曝されており、これに反応する形で生物はストレス応答を発生させます。的確なストレス応答は本来、生体機能の恒常性を維持するために必要不可欠ですが、異常なストレス応答は疾患の病因と病態メカニズムに密接に関与していることが明らかになりつつあります。対象となる疾患は、生活習慣病や悪性新生物などのcommon diseasesからいわゆる難病を含む稀少疾患rare diseasesまで多岐に亘ります。ストレス応答を惹き起こす要因は、先天的ないし遺伝的なものと生後の生活環境によって惹き起こされる後天的なものとに大別されますが、生活習慣病のように両者が重なることで生じる疾患病態は少なくありません。

2017年の学術集会では、二つのシンポジウム(①神経変性疾患における異常蛋白の毒性,蓄積および伝播、②鉄過剰ストレスに起因する疾患病態)を企画し、本学会のミッションである純粋な基礎研究と臨床応用に繋げる橋渡し研究の最前線を専門家に語っていただき、活発な議論の場にしたいと考えております。ランチョンセミナーでは、脳梗塞急性期の病態研究と治療開発の最前線について専門家にご講演をしていただく予定です。また、カリフォルニア大学サンジエゴ校のポール・S・ミシェル教授をお招きして、WHO主導で脳腫瘍診断に遺伝子解析が必須事項となったものの、テイラーメイド治療が十分に確立したとは言えない現状を踏まえ、脳腫瘍の細胞内代謝とエピジェネティクスおよび新規治療標的分子について特別講演をしていただく予定です。

 

開催日程の概要 (2017/10/12更新)

2017年11月4日(土)

受付開始(11:00 – )

幹事会(11:30 – 12:30)

開会挨拶(13:00 – 13:05) 大会長:柴田亮行

セッション1(13:05 – 13:45)
【分子シャペロンの構造と機能】■座長:跡見 順子・鳥越 俊彦

O1-1 (13:05-13:15) HSF1 の活性調節に働くリン酸化部位 Ser326 は進化的に保存されている
►瀧井 良祐、ほか(山口大学大学院医学系研究科医化学分野)
O1-2 (13:15-13:25) 好熱性真菌 Chaetomium thermophilum 由来プレフォルディンの機能構造解析
►森田 健斗、ほか(東京農工大学大学院工学府生命工学分野)
O1-3 (13:25-13:35) 真核生物プレフォルディン—CCT システムの基質特異性解析
►福井 彩花、ほか(東京農工大学大学院工学府生命工学分野)
O1-4 (13:35-13:45) Small HSP alphaB-crystallin constitutively expresses in keratinocyte of epidermis and responds to amphipathic reagent and ultraviolet ray through the interaction of acid sphingomyelinase
►Eri Fujita, et al (Tokyo University of Agriculture and Technology)

セッション2(13:55 – 14:45)
【蛋白品質管理機構の制御と異常】■座長:松岡 雅人・渡部 和彦

O2-1 (13:55-14:05) ATF4 の翻訳活性化機構を利用した統合ストレス可視化モデルマウス開発
►岩脇 隆夫、ほか(金沢医科大学総合医学研究所)
O2-2 (14:05-14:15) HSF1 によるオートファジーレセプターp62 活性化調節機構の解明
►渡邊 義久、ほか(京都府立医科大学大学院医学研究科基礎老化学)
O2-3 (14:15-14:25) ミクログリアにおける ALS 関連変異 SOD1 蛋白の除去機構の解明
►新井田 素子、ほか(東京女子医科大学医学部病理学第一講座)
O2-4 (14:25-14:35) ヒト絨毛癌細胞株 BeWo における Metformin と Pravastatin の小胞体ストレス 応答と胎盤増殖因子に対する役割
►鈴木 将裕、ほか(北海道社会事業協会帯広病院)
O2-5 (14:35-14:45) 小胞体ストレス応答を介したアクリルアミドの神経毒性
►蔣池 勇太、ほか(東京女子医科大学医学部衛生学公衆衛生学(一)講座)

若手研究奨励賞候補者ショートプレゼンテーション(14:55 – 15:45)

Y1 口腔扁平上皮癌細胞由来エクソソームに含まれる分子シャペロンについての検討
►小野 喜章、ほか(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)
Y2 HSF1 による培養ニューロン細胞質 TDP-43 凝集体の形成抑制
►佐久間 美帆、ほか(東京女子医科大学医学部医学科)
Y3 凝集タンパク質を元に戻す分子シャペロン Hsp104 の構造解析
►篠原 恭介、ほか(東京農工大学大学院工学府生命工学分野)
Y4 Hsp72 による SDF-2 の安定化はオキサリプラチン耐性の維持に重要である
►田中 昌子、ほか(早稲田大学先進理工学部生命医科学)
Y5 川崎病の病態発症と heat-shock protein 60 の関連性に関する検討
►千葉 幸英、ほか(東京女子医科大学医学部小児科学講座)
Y6 成体ニューロン新生を介した記憶学習制御における小胞体品質管理機構の役割
►村尾 直哉、ほか(宮崎大学医学部機能生化学)
Y7 癌細胞における HSP47 の IRE1活性調節機構
►米田 明弘、ほか(北海道大学産学・地域協働推進機構 FMI 推進本部難治性疾患治療部門)
Y8 ETAS 摂取によるアルツハイマー病モデルマウスの空間記憶低下予防
►時田 芹奈、ほか(札幌医科大学医学部病理学第一講座)
Y9 慢性的な中途覚醒の増加はアルツハイマー病モデルマウスのアミロイドβ病理を悪化させる
►皆川 栄子、ほか(国立精神・神経医療研究センター(NCNP)神経研究所 疾病研究第四部)
Y10 直鎖状ユビキチン鎖生成酵素 (LUBAC) に対する新規阻害剤による NF-κB 制御と疾患応用 を目指した基礎解析
►及川 大輔、ほか(大阪市立大学大学院医学研究科分子病態学分野)
Y11 気管支喘息とびまん性汎細気管支炎が併存しマクロライド療法により両疾患の病勢がレシ プローカルに推移した 1 例
►清水 悠里、ほか(東京女子医科大学医学部内科学第一講座)
Y12 既存疾患の糖尿病が外傷性脳損傷の重症度に及ぼす影響
►多々良 有紀、ほか(東京女子医科大学医学部法医学講座)
Y13 がん細胞のミトコンドリア分布制御による浸潤亢進と酸化ストレス回避
►小野寺 康仁、ほか(北海道大学大学院医学研究院生化学分野分子生物学)
Y14 酸化ストレス抑制剤の継続摂取によるマウス AApoAII アミロイドーシスの進行抑制
►代 健、ほか(信州大学大学院 医学系研究科疾患予防医科学系加齢生物学)
Y15 肝レンズ核変性症(ウィルソン病)における銅代謝異常
►西牟田 真由、ほか(東京女子医科大学医学部医学科)
Y16 心不全における副腎 β3 アドレナリン受容体を介した新たなアルドステロン産生機序
►山下 薫、ほか(東京女子医科大学医学部内科学第二講座)
Y17 両下肢運動障害を主訴に救急車にて来院した解離性障害の一例
►菊地 まゆ、ほか(東京女子医科大学医学部救急医学講座)

ポスター会場自由討論 (15:45 – 16:00)

シンポジウム1 (16:00 – 18:30)
「神経変性疾患における異常蛋白質の毒性、蓄積および伝播」■座長:渡部 和彦・永井 義隆

 タウ、α シヌクレインの伝播
 長谷川 成人(東京都医学総合研究所 認知症・高次脳機能研究分野)

 神経変性疾患関連タンパク質の細胞外分泌
 山田 薫(東京大学大学院医学系研究科神経病理学分野)

 アミロイド β と糖尿病
 里 直行(国立長寿医療研究センター分子基盤研究部・大阪大学連携大学院加齢神経医学)

 パーキンソン病における α シヌクレイン-脂質相互作用の役割
 鈴木 マリ、ほか(東京都医学総合研究所 運動・感覚システム研究分野)

 感染するプリオン、感染しないプリオン
 北本 哲之(東北大学大学院医学系研究科病態神経学分野)

懇親会、若手研究奨励賞発表 (18:45 – 20:45)

 
2017年11月5日(日)

セッション3(8:30 – 9:10)
【加齢・老化とストレス応答】■座長:中井 彰・養王田 正文

O3-1 (8:30-8:40) 変異 BiP マウスにおける加齢による認知機能障害と麻酔薬曝露による神経障害
►青江 知彦、ほか(帝京大学ちば総合医療センター)
O3-2 (8:40-8:50) マウスモデルを用いた外傷性脳損傷での脳内細胞老化マーカーの発現解析
►島田 亮、ほか(東京女子医科大学医学部法医学講座)
O3-3 (8:50-9:00) 認知症に対する酵素処理アスパラガス抽出物 (ETAS) の臨床効果
►高成 準、ほか(株式会社アミノアップ化学)
O3-4 (9:00-9:10) 社会心理的ストレスによる脳の萎縮とその後の回復
►海野 けい子、ほか(静岡県立大学薬学部)

シンポジウム2 (9:10 – 11:40)
「鉄過剰ストレスに起因する疾病病態」■座長:柴田 亮行・豊國 伸哉

S2-1 (9:10-9:40) ALS における可溶鉄増加とグルタミン酸毒性
►柴田 亮行(東東京女子医科大学病理学第一講座)

S2-2 (9:40-10:10) NASH/C 型肝炎における鉄過剰
►宮西 浩嗣(札幌医科大学医学部腫瘍内科学講座)

S2-3 (10:10-10:40) 発がんの根元的原因としての過剰鉄
►豊國 伸哉(名古屋大学大学院医学系研究科病理病態学講座生体反応病理学・分子病理診断学)

S2-4 (10:40-11:10) 鉄芽球性貧血の病態
►張替 秀郎(東北大学大学院医学系研究科血液免疫病学分野)

S2-5 (11:10-11:40) 本邦のヘモクロマトーシス
►川端 浩(金沢医科大学血液免疫内科学)

評議員会・総会 (11:40 – 12:00)

ランチョンセミナー(12:10 – 13:10)■座長:北川 一夫

脳梗塞に対するトランスレーショナルリサーチ -アカデミア発創薬の課題-
下畑 享良(岐阜大学大学院医学系研究科神経内科老年学分野教授)
共催:協和発酵キリン

セッション4(13:20 – 14:00)
【低酸素・酸化ストレス応答】■座長:市原 淳弘・柴田 亮行

O4-1 (13:20-13:30) 過酸化水素分解酵素カタラーゼによる新たな酸化ストレス応答機構の発見
►藤木 幸夫、ほか(九州大学生体防御医学研究所)
O4-2 (13:30-13:40) 一過性中大脳動脈閉塞モデルにおける慢性低灌流負荷の効果
►齋藤 萌子、ほか(東京女子医科大学大学院医学研究科神経内科学分野)
O4-3 (13:40-13:50) 抗酸化ストレス応答はメトホルミンによる抗腫瘍効果を誘導する
►西田 充香子、ほか(岡山大学大学院医歯薬総合研究科免疫学分野)
O4-4 (13:50-14:00) ERO1α は低酸素環境下において integrin-β1 の立体構造形成に関与し癌細胞増 殖に寄与する
►武井 則雄、ほか(北海道大学産学・地域協働推進機構 FMI 推進本部難治性疾患治療部門)

セッション5(14:00 – 14:50)
【侵害ストレス応答】■座長:鵜殿 平一郎・徳永 文稔

O5-1 (14:00-14:10) ストレス解消に適した入浴による体温変化の検討
►伊藤 要子、ほか(HSP プロジェクト研究所)
O5-2 (14:10-14:20) 無細胞系による NLRP3 インフラマソームと直接相互作用する物質の探索
►増本 純也、ほか(愛媛大学大学院医学系研究科解析病理学講座)
O5-3 (14:20-14:30) 癌や炎症性疾患において分子シャペロン HSPs が誘導される新たな経路:核 内 MMP とヘテロクロマチンタンパク質の相互作用
►江口 傑徳、ほか(岡山大学大学院医歯薬総合研究科歯科薬理学)
O5-4 (14:30-14:40) mTOR 複合体を介する糖代謝と微量元素代謝のクロストーク
►増井 憲太、ほか(東京女子医科大学医学部病理学第一講座)
O5-5 (14:40-14:50) グリオーマにおける ATM の活性化の検討
►吉本 幸司、ほか(九州大学大学院医学研究院脳神経外科学分野)

特別講演 (15:00 – 16:00) ■座長:川俣 貴一・増井 憲太

Targeting metabolic co-dependencies in cancer-leveraging biological stress adaptations to generate therapeutic vulnerabilities
►Paul S. Mischel, M.D. (Member and Head, Laboratory of Molecular Pathology, Ludwig Institute for Cancer Research; Professor of Pathology & Moores Cancer Center, UCSD)

《記念品贈呈・講演者答辞》柴田大会長 ⇒ Prof. Paul S. Mischel

閉会の挨拶 (16:05) 大会長:柴田亮行

 

大会の運営

(1)大会実行委員

委員長: 柴田 亮行(東京女子医科大学病理学第一講座)
委員:
跡見 順子(東京農工大学大学院工学府応用化学有機材料化学)
市原 淳弘(東京女子医科大学高血圧内分泌内科学講座)
鵜殿 平一郎(岡山大学大学院医歯薬総合研究科免疫学)
川俣 貴一(東京女子医科大学脳神経外科学講座)
北川 一夫(東京女子医科大学神経内科学講座)
徳永 文稔(大阪市立大学大学院医学研究科分子病態学)
豊國 伸哉(名古屋大学大学院医学系研究科生体反応病理学)
鳥越 俊彦(札幌医科大学医学部病理学第一講座)
中井 彰(山口大学大学院医学系研究科医科学分野)
永井 義隆(大阪大学大学院医学系研究科神経難病認知症探索治療学)
松岡 雅人 (東京女子医科大学衛生学公衆衛生学(一)講座)
養王田 正文(東京農工大学大学院工学府生命工学)
渡部 和彦(杏林大学保健学部臨床検査技術学科神経病理学)