開催の目的と意義
日本臨床ストレス応答学会は、生体の様々なストレス応答の分子機構の理解と臨床への応用を目的として1996年に立ち上げられた臨床ストレス蛋白質研究会が、より広範なストレス応答を対象とし、より多くの基礎および臨床研究者や、医療および社会への応用を目指す方々の学術交流の場を目指して2006年に学会へと発展したものです。
個体や細胞へ負荷される様々な環境や代謝の変化によるストレス刺激に対する適応機構はストレス応答と呼ばれ、生体機能の恒常性の維持に不可欠であり、その異常が多くの難治性疾患の原因となっています。高度競争社会の構築に伴い日々高まる緊張下にある現代社会においては、多くの疾患がストレス応答の異常に基づくことが明らかになってきました。さらに、本格的高齢化社会をも迎えている今日、老化と密接に関連するストレス応答のしくみを解明し、それを制御することは今後益々重要であると考えられます。
本大会では、タンパク質分解やシグナルを担うユビキチン修飾の研究で著名な岩井一宏京都大学大学院教授、およびアミノ酸代謝変化による転写環境の構築で独創的な研究を進めておられる深水昭吉筑波大学大学院教授による特別講演を企画しております。また、2つのシンポジウムでは「核を介するストレス適応機構」、「ストレス応答と疾患;Bridges to Clinics」をテーマとして海外招聘者を含む新進気鋭の研究者にご講演をいただく予定です。さらに、若手研究者育成を目的として若手研究奨励賞を5人に授与いたします。全国のストレス応答の分子生物学、細胞生物学、臨床医学の研究者、および医師、医療・保健関係者が一堂に会し、最近の進歩と展望について議論する有意義な場になることを祈念しております。
開催日程の概要
受付開始(11:30 – )
幹事会(12:00 – 13:00) 開会挨拶(13:00 – 13:04)大会長:中井 彰 セッション1(13:04 – 13:54)
シャペロンと老化、がん 座長:柴田 亮行(東京女子医科大学)跡見順子(東京農工大学) O1 好熱性真菌Chaetomium thermophilum由来プレフォルディンの機能構造解析
養王田正文、森田健斗、山本陽平、宇野裕子、野口恵一
東京農工大学大学院工学府生命工学専攻、他 O2 p53標的遺伝子IER5は新規の低リン酸化型の活性化HSF1を作り出し、がん化を促進する
大木理恵子
国立がん研究センター研究所
(P0) O3 ストレスタンパク質ヘムオキシゲナーゼ-1遺伝子の転写制御
井上幸江、羽鳥勇太、赤木玲子
安田女子大学薬学部薬学科 O4 細胞老化とヒートショックプロテインの発現量の関係
早崎沙彩、Anan Yu、Sue Fox、Rick Morimoto、跡見順子
東京農工大学工学府、他
(P1)若手研究奨励賞応募演題 O5トリプトライドはメラノーマ細胞においてHSF1を介して抗腫瘍効果を発揮する
中村好貴、中谷祐子
山口大学大学院医学系研究科皮膚科学分野 13:54 – 14:10 休憩 セッション2(14:10 – 15:00)
酸素と関連するストレス応答と免疫・炎症 座長:井上 幸江(安田女子大学)山本 悠太(和歌山県立医科大学) O6 酸化ストレスはメトホルミンによる抗腫瘍効果を誘導する
西田充香子、周悦、山﨑千尋、榮川伸吾、鵜殿平一郎
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科免疫学
(P2)若手研究奨励賞応募演題 O7 低酸素およびグルコース飢餓による腫瘍細胞MHCクラスIb発現とCD8+T細胞応答低下
佐々木敬則、金関貴幸、宮本昇、宮崎晃亘、平塚博義、鳥越俊彦
札幌医科大学医学部病理学第一講座、他
(P3)若手研究奨励賞応募演題 O8 腸上皮バリア障害モデルにおける活性酸素種と炎症の関連の検討
羽鳥勇太、井上幸江、赤木玲子
安田女子大学薬学部薬学科
(P4)若手研究奨励賞応募演題 O9 ERO1αはコラーゲンの分泌とMT1-MMPの生合成を介して肝星細胞の増殖を調節する
米田明弘、藤井瑞希、武井則雄、澤田香織、横山敦郎、田村保明
北海道大学産学・地域協働推進機構FMI推進本部難治性疾患治療部門、他 14:50 – 15:00 休憩 ポスター発表(若手研究奨励賞候補者) (15:00 – 16:00)
P1 – P15 シンポジウム1 (16:10 – 18:10)
「核を介するストレス適応機構」
座長:永井 義隆(大阪大学)西頭 英起(宮崎大学) S1 「転写因子NRF2による酸化ストレス応答と細胞老化制御」
本橋 ほづみ 先生
東北大学加齢医学研究所 S2 「ヒートショックシグナル活性化の多様性と認知機能障害」
鳥居 和恵 先生
Children’s National Medical Center for Neuroscience Research S3 「分子シャペロンHsp70核内輸送運搬体Hikeshiの機能」
今本 尚子 先生
理化学研究所基幹研究所 S4 「熱ショック応答におけるポリADPリボシル化酵素の役割」
藤本 充章 先生
山口大学大学院医学系研究科 S5 「DNA損傷応答における小胞体ストレストランスデューOASISの役割」
今泉 和則 先生
広島大学大学院医歯薬保健学研究科 18:10 – 18:20 休憩 特別講演1 (18:20 – 19:10)
座長:中井 彰(山口大学) 「PRMT1(アルギニンメチル化酵素)とストレス応答機構」
深水昭吉 筑波大学大学院教授
(新学術領域研究「転写代謝システム」代表)
セッション3(8:30 – 9:20)
タンパク質毒性ストレス応答と細胞死、ミトコンドリア機能 座長:親泊 政一(徳島大学)小瀬 真吾(理化学研究所)
Nobuhiko Hiramatsu, Jonathan H. Lin, Takao Iwawaki
Department of Pathology, University of California, San Diego, 他
(P5)若手研究奨励賞応募演題 O11 UPR欠損マウス胎児線維芽細胞は小胞体からのCa2+放出を介してアポトーシスを誘導する
張君、三宅雅人、津川和江、宮本千伸、親泊政一
徳島大学先端酵素学研究所生体機能学分野 O12 小胞体ストレス受容体PERKを介したミトコンドリア品質管理機構の解明
加藤裕紀、西頭英起
宮崎大学医学部機能生化学分野
(P6)若手研究奨励賞応募演題 O13 HSF1-SSBP1 complex maintains mitochondrial function via upregulation of NRF1 expression during heat shock
Ke Tan, Yumei Fan, Arpit Katiyar, Mitsuaki Fujimoto, Ryosuke Takii, Akira Nakai, and Xianglin Duan
Laboratory of Molecular Iron Metabolism, Key Laboratory of Animal Physiology, College of Life Science, Hebei Normal University, China, 他
(P7)若手研究奨励賞応募演題 O14 HSF1 is a regulator of mitochondrial HSP genes in mammals
Arpit Katiyar, Mitsuaki Fujimoto, Ryosuke Takii, Ke Tan, and Akira Nakai
Deptartment of Biochemistry & Molecular Biology, Yamaguchi University School of Medicine
(P8)若手研究奨励賞応募演題 9:20 – 9:30 休憩 セッション4(9:30 – 10:10)
タンパク質毒性ストレス応答と組織恒常性 座長:樋口 京一(信州大学)平松 伸彦(金沢医科大学) O15 オートファジーによる変異アンドロゲン受容体の分解とその治療への応用
足立弘明、黃哲、岡田和将、大成圭子、橋本智代、岩中行己男、豊田知子、勝又竜
産業医科大学医学部神経内科学 O16 遺伝子置換システムを用いた優性遺伝性GH1遺伝子異常症モデルマウスの作製と発症機序の解明
有安大典、久保英実香、芝田晋介、荒木喜美
熊本大学生命資源研究・支援センター疾患モデル分野、他 O17 マウスLeydig細胞でのステロイド合成におけるHSF1の役割
岡真太郎、白石晃司、藤本充章、Arpit Katiyar、瀧井良祐、中井彰、松山豪泰
山口大学大学院医学系研究科泌尿器科学講座、他
(P9)若手研究奨励賞応募演題 O18 廃用性筋萎縮に伴うマウスヒラメ筋の速筋化におけるHSF1の役割
後藤勝正、横山真吾
豊橋創造大学大学院健康科学研究科 10:10 – 10:20 休憩 シンポジウム2 (10:20 – 11:32)
「ストレス応答と疾患;Bridges to Clinics」
座長:足立 弘明(産業医科大学)養王田 正文(東京農工大学) S6 「大腸がん原発巣の進化において多様性を生じるストレス・選択圧について」
三森 功士 先生
九州大学病院別府病院 S7 「肝疾患における肝細胞のストレス対応」
原田 大 先生
産業医科大学医学部第3内科学 S8 「小胞体ストレス応答と慢性腎臓病(CKD)」
稲城 玲子 先生
東京大学大学院医学系研究科 CKD病態生理学講座 11:32 – 11:40 休憩 評議委員会、総会 (11:40 – 12:00) ランチョンセミナー(12:10 – 13:10)
座長:徳永 文稔(大阪市立大学) L1 「CRISPR/Cas9システムを用いたES細胞のゲノム編集とその応用」
伊川 正人 先生
大阪大学微生物病研究所
プライムテック株式会社 共催 13:10 – 13:20 休憩 セッション5(13:20 – 14:10)
ストレスシグナルとがん、組織恒常性 座長:鳥越 俊彦(札幌医科大学)増井 憲太(東京女子医科大学) O19 がんの病態と蛋白翻訳後修飾
増井憲太、原地美緒、Webster K. Cavenee、Paul S. Mischel、柴田亮行
東京女子医科大学第一病理、他 O20 EGFR-mTORC1経路はがんのエピジェネティクスを制御する
原地美緒、増井憲太、柴田亮行
東京女子医科大学病理学第一講座
(P10)若手研究奨励賞応募演題 O21 治療抵抗性婦人科がん幹細胞におけるストレス応答分子機序解析
田渕雄太、廣橋良彦、村井愛子、安田和世、浅野拓也、真理谷奨、鳥越俊彦
札幌医科大学医学部病理学第一講座
(P11)若手研究奨励賞応募演題 O22 Role of three lysine residues in hERG to regulate hERG expression and channel function
Peili Li, Endang Mahati, Yasuaki Shirayoshi, Ichiro Hisatome
Division of Regenerative Medicine and Therapeutics,Tottori University Graduate School of Medical Science O23 D—セリンは小胞体ストレスと酸化ストレスを介した尿細管老化を促進する。
岡田啓、Jao Tzu-Ming、南学正臣、稲城玲子
東京大学大学院医学系研究科腎臓内分泌内科、他
(P12)若手研究奨励賞応募演題 14:10 – 14:20 休憩 セッション6(14:20 – 15:00)
化合物によるストレス制御 座長:田村 保明(北海道大学)後藤 勝正(豊橋創造大学) O24 非アルコール性脂肪性肝炎モデルにおいてランソプラゾールはTGF-β活性を抑制する
山本悠太、山岸直子、西利男、上山敬司
和歌山県立医科大学医学部解剖学第一講座 O25 ランソプラゾールはNrf2/Ho1経路を活性化することによって肝細胞保護作用を示す
山岸直子、山本悠太、西利男、伊藤隆雄、上山敬司
和歌山県立医科大学解剖学第一講座
(P13)若手研究奨励賞応募演題 O26 血管内皮に対する還元型コエンザイムQ10の抗酸化ストレス、抗老化と細胞機能改善効果
霍佳、徐哲、代健、五十嵐佑一、宮原大貴、澤下仁子、樋口京一
信州大学大学院医学系研究科疾患予防医科学系加齢生物学、他
(P14)若手研究奨励賞応募演題 O27 鼻咽頭愁訴に対するActive hexose correlated compoundの無作為化二重盲検プラセボ比較試験
高成準、鎌田奈美佳、脇英彰、鈴木卓也、田中結希、今井賢治、上馬塲和夫、久島達也
株式会社アミノアップ化学、他
(P15)若手研究奨励賞応募演題 15:00 – 15:10 休憩 特別講演2 (15:10 – 16:00)
座長: 鵜殿 平一郎(岡山大学) 「直鎖状ユビキチン鎖:NF-κB活性化、細胞死制御、ガン」
岩井一宏 京都大学大学院教授
(新学術領域研究「ユビキチン制御」代表 ) 閉会の挨拶 (16:00)
大会長:中井 彰
大会の運営
(1)大会実行委員
委員長: 中井 彰(山口大学大学院医学系研究科医化学分野)
委員:
鵜殿平一郎(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科免疫学分野)
鳥越俊彦(札幌医科大学医学部病理学第一講座)
養王田正文(東京農工大学大学院工学府生命工学専攻)
樋口京一(信州大学大学院医学系研究科加齢生物学)
伊藤英晃(秋田大学大学院工学資源学研究科生命科学科)
永井義隆(大阪大学大学院医学系研究科神経難病認知症探索治療学)
徳永文稔(大阪市立大学大学院医学研究科分子病態学)
柴田亮行(東京女子医科大学医学部病理学第一講座)
足立弘明(産業医科大学医学部神経内科)
今泉和則(広島大学大学院医歯薬保健学研究科分子細胞情報学)
西頭英起(宮崎大学医学部機能生化学)
久留一郎(鳥取大学大学院医学系研究科再生医療学部門)
松山豪泰(山口大学大学院医学系研究科泌尿器科学分野)