受賞者
東京大学大学院薬学系研究科細胞情報学教室 森下 和浩
経歴
2018年3月 東京大学薬学部薬科学科 卒業
2018年4月 東京大学大学院薬学系研究科薬科学専攻修士課程 入学
現在に至る
所属学会
日本臨床ストレス応答学会、日本生化学会,日本分子生物学会など
コメント
この度は第14回日本臨床ストレス応答学会若手研究奨励賞に選出頂き,大変光栄に存じます.本研究を評価して頂いた選考委員の方々,大会長の徳永先生をはじめとした学会関係者の皆様に深く感謝申し上げます.
本研究はASK3というストレス応答性MAP3Kが,液-液相分離という物理化学的法則に則った現象により高浸透圧ストレスの認識を行うことに端を発するものであります.細胞レベルでの浸透圧ストレス応答の研究は一見基礎的な生物学に近い領域ではありますが,加齢や高食塩食摂取に伴い,ASK3欠損マウスがより重度な高血圧症状を示すことから,浸透圧ストレス応答における細胞体積制御機構の理解が,高血圧症における治療戦略につながる可能性があります.また近年,水の移動を伴う細胞体積制御が,細胞分裂や細胞死,炎症,細胞移動など,細胞体積変化を伴う様々な細胞現象において役割を担うことが提唱されていることから,細胞体積制御の理解ががんをはじめとする様々な疾患に対する新規治療標的の開発に発展する可能性も秘めています.本学会の「基礎研究者と臨床医学研究者が学術交流を深める」という理念通り,本発表中におきましても臨床医学を専門とされる方々との議論を通じ,自身の研究を新たな視点で見直す機会を頂きました.
最後になりますが,今回奨励賞を頂いた研究は,一條秀憲先生,渡邊謙吾先生をはじめとする細胞情報学教室の皆様のご指導,ご協力によるものです.この場をお借りして改めて感謝を申し上げるとともに私自身これからもより一層研究活動に邁進していく所存です.